四国は島。
台風が来れば橋も閉鎖、フェリーも欠航で、大阪に帰ることは出来ません。
昨秋の九州ツーリングの二の舞いになっては大変ですから、残念ですが今日帰ることにしました。
讃岐うどん巡り二日目の今朝はもちろん朝ご飯を食べず、万全の体調で高松の宿をチェックアウトしました。
向かったのは、坂出の超有名店蒲生うどん。
平日の朝、一番乗りならあまり並ぶことも無いでしょう。
ところが、駐車場は想像に反し、一台も車が止まっていません。
なんと今日は定休日だったのです。
食べログの情報では日曜日と第3月曜日が休みとなっていましたが、実は第4月曜日も休み。
やられました。
記念撮影だけ済ませて、オルタナティブチョイスを自作のうどんデータベースから検索します。
ヒットしたのは、丸亀のなかむら。
ここなら朝9時開店。
蒲生うどんから20分ちょっとですから、ちょうど開店前に並ぶことができます。
土器川沿いの住宅街の一角。
既に行列が出来ていますが、それほどでは無さそうです。
この小さな家が厨房のようです。
大型扇風機で行列に風を送ってくれます。
既に30℃近くなっているでしょう。
並んで待っている間に、張り紙を読めば、情報が手に入る仕掛け。
9時の開店とともに、少しずつ列が動きます。
暖簾をくぐって、案内係のお姉さんに注文を告げます。
私は釜玉小。
すると、丼が渡されます。
「生卵を割って、軽く溶いてください」
と指示されます。
そのまま丼を持って大釜の前へ。
一旦茹でて締めたうどんを再び釜茹でにして、それを丼に入れてくれます。
一般的には卵は後から入れるのですが、この店はお客が先に溶いておいた卵にうどんを投入するスタイル。
徹底したセルフです。
ダシ醤油は少な目で。
好みの薬味を入れます。
私はネギだけにしました。
狭い店内ですが、案内係のお姉さんの見事な差配で混乱はありません。
天ぷらコーナーも魅力的ですが、これに手を出すとたちまちお腹が膨れて、数がこなせなくなります。
今日も6軒は回りたいので、グッと我慢。
美味しそうです。
早く食べたい。
270円払って、食堂へ。
エアコンの効いた屋内もありましたが、せっかくなので、外で食べることにしました。
その方が、この店に相応しいと思ったからです。
しっかりと卵を麺を混ぜ合わせます。
早速頂きます。
麺は柔らかめで滑らか。
熱々の麺と生卵が絡んで至福の味。
アウトドアで食べる讃岐うどんは、また格別です。
ダシ醤油は少な目で素材の味が楽しめました。
蒲生うどんの休みに一瞬動揺しましたが、我ながら見事なリカバリー。
エンジンも温まったので、二軒目も快調に食べられそうです。
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蒲生うどんの思わぬ休業を、なかむらでナイスリカバリーして気分は爽快です。
のどかな田園風景を走ること約20分、綾川町の田村うどんに着きました。
田んぼの中の一軒家です。
時刻は9時50分。
バイクを正面に止めます。
行列はありません。
プレハブ造りの簡易な製麺所。
倉庫のようなスペースにテーブルとイスが無造作に置かれています。
製麺所の讃岐うどん店らしい、いい雰囲気です。
先客は一組。
小さな男の子を連れたお母さん。
大将との会話を聞くともなく聞けば、夏休みで実家に帰省し、懐かしいうどん屋に食べに来ているようです。
さすが香川県人。
メニューは大か小か、冷か熱かを選んで、あとはセルフというスタイル。
奥の大釜に向き合って、真剣勝負のご主人。
こまめにうどんの茹で加減を確かめています。
茹で立てのうどん。
実に美しい。
厨房の中に冷だしと温だし、そしてかけ用のお湯があります。
何でも自分でやる、いわゆるスーパーセルフ店。
大将の指示に従い、にわかうどん屋になります。
ここではかけにしたので、テボに入れてお湯にくぐらせます。
シャッシャッと湯切りするのが、自分がうどん屋のオヤジになったようで楽しい。
温だしをタンクから注ぎます。
もちろんナミナミ。
各種トッピングの中から、きつねにしました。
厨房の方の食堂はいつの間にか行列となっていました。
落ち着かないので、隣の倉庫へ。
かけ小きつね。
出汁を一口。
濃いめの味。
打ち立て、茹で立ての麺は、腰があり、もちっとして実に食べやすい。
大きな揚げ。
甘辛い揚げは、やっぱりうどんのベストパートナー。
讃岐うどんの必須アイテム、ネギと生姜もたっぷり入れました。
もちろん完食完飲です。
お会計は後払い。
自己申告で260円支払いました。
お土産を頼まれていた友人用に一袋購入。
田村うどんで、いかにも製麺所らしいうどんを食べた後、バイクで10分ほど走ってやってきたのは、釜玉発祥の店として知られる、超有名行列店山越(やまごえ)うどん。
10時半で順調に3軒目です。
バイクを止めてお店に向かうと、やはり行列が出来ていました。
それでもこれなら大したことはなさそうです。
15分ほど並んで順番が来ました。
やはりここに来たら、かまたま。
かまたま山小にしました。
かまたまに山芋がのっています。
既にネギものせられています。
どうせ混ぜるとはいえ、最初から生卵が割れていたのは、たまご好きの私にはショックでした。
うどんを受け取ると、天ぷらなどのトッピングを選ぶコーナーがあります。
もちろんグッと我慢して、うどんだけ。
うどんを受け渡す場所と、天ぷらコーナー、そしてレジが一列なのはどこの店も同じですが、その処理能力を大幅に上回るお客さんが押し寄せるために、この店に大行列が出来るのです。
お会計を済ませて、だし醤油が置いてあるテーブルへ。
オリジナルのかまたま用のだし。
かけすぎは禁物です。
ここまでは、まるでベルトコンベアにのせられたような流れ作業。
その奥に広大な食事スペースがあります。
屋根はありますが、オープンエア。
やはり製麺所のうどんは、屋外で食べるのが美味しい。
生姜も少しトッピングしました。
肌理の細かいとろろ。
端を入れて混ぜ合わせていきます。
細めのもっちりした麺は柔らかめ。
更にかき混ぜれば、山芋と卵で一段とフワフワに。
小麦粉と卵と山芋の甘みに、ほんのりかすかなだし醤油の味。
素晴らしいコラボです。
もちろん最後に残った汁も残さず頂きます。
完食完飲です。
私の隣には4玉食べているドスコイ系の体型をした猛者がいました。
いくらなんでも、それは食べ過ぎです。
出口には大きな土産物コーナーもありました。
広大な駐車場、大勢のアルバイト、オートマティックに流れる接客。
綾川町の田舎に、大手チェーンも驚きのシステマティックなうどん店。
確かに美味しいのですが、製麺所のうどん屋としては、作り手の顔が見えないな、と感じました。
綾川町の山越うどんからまんのう町の山里に向けて、国道438号線を南に走ります。
山の向こうは徳島県。
その麓に讃岐うどん巡礼の聖地があります。
山越うどんからは、およそ30分。
看板も何も無い川沿いの民家に行列が出来ています。
谷川米穀店。
店の脇には土器川が流れています。
今朝食べたなかむらは、このずっと下流。
その名の通り、ここはこの小さな山村のお米屋さん。
わざわざ
「食堂 午前11:00より午後1:00まで」
と書いてあります。
10分ほど並んで店内へ。
ここは先ほどの山越うどんとは違って、むしろ食べるスペースに制約があり、満席になると行列がストップします。
ここでもやはり、押し寄せるうどん巡りの観光客に対応するために、食べ方の指南が掲示されていました。
並んでいる間に予習してください、というわけです。
食べ方も知らないで、こんな山奥まで讃岐うどんを食べに来る観光客がいるのでしょう。
それだけライトでポピュラーな観光資源になったということです。
料金は後払い制。
温・冷、大・小というシンプルな製麺所メニュー。
ここの名物は自家製青唐辛子。
追加が簡単に出来るようで、お客さんが丼を持ってご主人の所に
「あつ、ひと玉」
とか
「ひや、ひと玉」
などと声をかけます。
それを丼に入れてもらい、再び席に戻ってうどんを啜ります。
私もこの店だけなら、是非とも真似してみたかったオーダー。
ようやく私のうどんが手渡されました。
並び始めて20分。
冷小。
青唐辛子を少しかけます。
空いている席に座ります。
テーブルは満席なので、壁際にならんでいる椅子の一つに腰掛けます。
いろんな調味料が置いてあります。
醤油の瓶に入った酢もあります。
ネギをたっぷり。
艶々と美しい美白の麺。
最初はなんとも落ち着かない雰囲気に飲まれかけましたが、ようやく平静を取り戻しました。
醤油を少し垂らして頂きます。
一口食べてうどんの甘さに驚きました。
小麦粉の甘みが見事に引き出されています。
その甘みが青唐辛子や醤油とバランスよく調和しています。
お米屋さんの手打ち、恐るべし。
あっという間に完食です。
150円。
是非ともお代わりしたかったのですが、まだこの先回りたいお店があります。
いつの日か、この聖地にまた来れる日があることを願って、店を後にしました。
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今日の5軒目は、先ほどの谷川米穀店から国道438号線を7、8分下った川沿いにある、まんのう町の三嶋製麺所。
看板も何もないので、行列が無ければそこが製麺所だとはわかりません。
私も通り過ぎてしまいました。
煙突からは釜の湯を沸かす煙が立ち上っています。
蜩の鳴き声しか聞こえない、なんとものどかな場所。
軒先にバイクを止めて、店内へ。
製麺所らしく、店内はほぼ製麺スペース。
今日の讃岐うどん人気の火付け役と言ってもいい、2006年に公開された映画「UDON」のロケ地としても使われました。
そのお婆さんが、今もお元気でお店に出ています。
製麺を手伝っているのは、お孫さんでしょうか。
メニューも料金表もありません。
私は、お孫さんらしきお兄さんに
「冷たいのか熱いのか、大か、小かです」
と言われ、冷や小を頼みました。
140円。
映画のシーンそのままに、お婆さんが私に丼を運んでくれました。
撮影・掲載許可済み |
綺麗に撚られた白いうどん。
カウンターの上には各種調味料と生卵。
「この麺は生醤油でいこう」
と醤油を少しだけ垂らして啜ります。
この製麺所に相応しい、なんとも素朴な味わい。
しっかりとした小麦の風味。
シンプルで力強い味。
しかし余計な個性はありません。
開け放たれた窓から聞こえる蜩の鳴き声が、うどんの旨さを引き立てます。
この店には生姜は置いていないようです。
赤唐辛子を振ってみました。
ツルリと完食。
もともとうどん好きの私は、映画を見て是非とも讃岐うどん巡りをしたいと思っていました。
もう10年近く前の話です。
当時は東京に住んでいたので、とうてい無理だろうと思っていましたが、大阪転勤を機に、いつかはきっと、と思っていたことが今回こうして実現しました。
思えば、うどん文化の大阪で、
「讃岐うどんは大阪のうどんと違って、太くて固い」
というのは、私も50年前から知っていたことです。
そんな讃岐うどんを、今、こうして、こんな山奥で食べていることに感慨を覚えました。
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いよいよ今回の本場讃岐うどん巡礼のツーリングもフィナーレです。
本日の6軒目にして旅の最後を飾るのは、まんのう町の山内うどん店。
先ほどの三嶋製麺所からバイクで20分ちょっと。
お店はこの看板の左手の坂を上がります。
小高い丘の上に忽然と現れたうどん屋。
これは強烈なインパクトのある店構えです。
煙突から煙が立ち上っています。
薪を使って湯を沸かしているのです。
時刻は13時10分。
14時半までの営業ですが、讃岐うどん店の常で、麺切れで閉店します。
間に合わないかと焦りましたが、まだ暖簾がかかっていました。
行列の人気店ですが、さすがにピークは過ぎているようです。
カウンターで注文します。
今日も暑い一日でした。
やっぱりひやひやです。
ネギをのせて出してくれます。
厨房のおばちゃんたちの接客がなんともほのぼのと温かく、田舎らしさを感じます。
お会計は300円。
テーブル席に座ります。
ここはかなり食堂が広く、小上がりもあります。
エアコンが効いているのはありがたい。
端正なビジュアルの麺。
ワイルドな店ですが、麺は繊細さが窺えます。
生姜をセルフですりおろします。
もうすっかり慣れましたが、みんなの手は綺麗なのかな、とちょっと思ったり。
でも、生姜は殺菌作用があるから、自浄するのかもしれません。
さあ、いただきましょう。
細めですが、エッジの立った麺。
一口啜れば、その細さの割にはしっかりと腰と固さが感じられます。
実に讃岐らしい麺。
薄めのいりこだしとの相性も良く、スルスルと喉を通り抜けていきます。
一気に完食完飲です。
食べている間に、一気に20人位やって来て、たちまち満員、うどん切れとなりました。
私はここのうどんがとても気に入ったので、自宅用にお土産を買い求めました。
再び丘を下って表通りへ。
本日終了の看板が出ていました。
楽しかった5日間の旅も終わり。
接近している台風15号を避けるために、一日予定を早めて帰阪します。
善通寺ICから高松自動車道へ。
大阪にいるうちに、再び讃岐富士を見ることが出来るでしょうか。
坂出JCTから瀬戸中央自動車道へ。
初めて渡る、憧れの瀬戸大橋。
与島PAに立ち寄りました。
構造物フェチの私が萌えるアングル。
二重構造の高架の下側はJRの列車が走ります
こんな橋を造る日本の技術は、やはりすごい。
しばらく瀬戸内の島々と瀬戸大橋を眺めてのんびり休憩しました。
再び与島PAから瀬戸大橋へ戻り、本州、岡山県へ。
児島PAで下りて鷲羽山展望台に向かいます。
展望台からの瀬戸大橋の眺め。
4日間走り回った四国が彼方に。
鷲羽山の名前は、和紙が羽を拡げて飛ぶ姿に似ているところからその名が付いたそうです。
それは瀬戸内海から見ないとわからないのでしょう。
瀬戸大橋とサンフランシスコの金門橋は姉妹橋だそうです。
瀬戸大橋の全景。
こうしてみると本当に本州と四国は近いと感じます。
あれは先ほど休憩した屋島PAでしょうか。
穏やかな瀬戸内海を行き交う船を見ているだけで、心が癒されます。
名残は尽きませんが、そろそろお別れしましょう。
再び児島ICから瀬戸中央自動車道に戻ります。
ここから山陽自動車道。
後は一路大阪へ。
20時前に無事に自宅に戻りました。
【本日の走行距離】352.5Km
【総走行距離】1046.4Km
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