2015年11月21日土曜日

1泊2日鳥取~岡山~兵庫ご当地グルメツーリング【1日目】 鳥取「味暦あんべ」で親ガニ丼。三朝温泉で命の洗濯をして、夜は鳥取の居酒屋「しもむら」で一杯

三連休は漠然と西の方に日帰りツーリングに行こうと思っていました。
しかし、今週の日曜日に、野田地獄谷の居酒屋酒縁 ゆるりのマスターが、「研修旅行」と称して鳥取で旨そうなものをいっぱい食べているのをフェイスブックで知り、居ても立ってもいられなくなりました。
月曜日に地獄谷に出向いてマスターから詳細な情報を収集し、大急ぎで旅行の計画を立てました。

宿は全くネットでは見つからず、電話でなんとか駅前旅館を確保。
ランチで訪れたい味暦あんべはセコガニ丼を食べさせてくれるお店。
シーズンイン直後の三連休とあって、予約は既に一杯。
それはそうでしょう、そんなに甘くはありません。
でも、電話で応対してくれた店主は
「予約は毎時00分なので、その時に並んでいれば、早めに食べ終わったお客さんが20分か30分で出るから、一人か二人なら入れるかもしれません」と言います。
その言葉を信じて、11時の開店に間に合うように出かけることにしました。

朝7時過ぎに大阪を出発。
中国道から鳥取道へ。
朝はちょっと冷えますが、快適なツーリング。



10時半過ぎにお店に着きました。
誰もいません。
どうやら一番を確保したようです。


とりあえずバイクを駐車して、それからお店の前でスタンバイ。
10分ほど前から続々と人が集まり、不自然な行列が出来ます。
予約している人と、していない人が混じっているのです。
私は既にお店には顔を売っていますし、玄関のすぐ脇に立って「俺がウェイティングの一番だからね」と、不特定多数のライバルたちに暗黙のアピール。

11時と共に、とても感じのいいお姉さんが店から出てきて看板をかけ、予約の方の名前を呼び上げて、中に招じ入れます。

表には、予約なしのウェイティングメンバーが4組6名残されました。
間もなく開店30分、というところで、早く食べ終わったお客さんが出てきました。
ウェイティングのメンバーは色めき立ちます。
私は内心ほくそ笑みました。
いえ、明らかに顔がにやけたかもしれません。
私は当確なのです。
カウンターの一番奥の席に案内されました。
私以降を含めて4人が一気に入店です。
入店前に親がに丼の普通盛を頼みましたが、別のお客さんが頼んだ特盛が気になって仕方ありません。
着席後にお姉さんを捕まえて
「特盛に変えられますか?ご飯は普通盛りで良いんです。あ、お金は払いますから」
とかなり前のめりな、自分でも何を言っているのかわからないオーダー変更を申し入れました。
お姉さんは、すかさず大将に「特盛のご飯普通、いけますか~!?」と大声で確認。
無事了解が出ました。
ご飯が多いとお腹いっぱいになって夜に差し支えるのでやめたのですが、親がにはたくさん食べたいのです。
表で発注済にもかかわらず、着席後の突然のリクエストは、無事通りました。


店内は落ち着いた和風の小料理屋風情なのですが、騒然とした雰囲気。
高校生、大学生と思しきアルバイトの若いお兄ちゃん、お姉ちゃんが所狭しと働いているのです。
店内にはチーフ格の、先ほどの可愛いお姉さんの他に、7、8人が分業体制でシステマティックに働いていますが、大将が彼らに細かい指示を飛ばしています。
その声にいちいち店員が「はい!」「わかりました!」と返事するので、まるでチェーン居酒屋にいるような雰囲気です。


到着した親がに丼特盛(ご飯普通)の蓋を開けてご対面。


ゆるりのマスターの写真で見て知っていはいましたが、思わず息を飲む迫力。
親がにを四杯は使っていそうです。


親がに汁にも二匹入っています。
「かに汁はお代わりもどうぞ」
という気前良さ。
巨大な鍋で大量に作っています。


足の身。
親がには足が細いので、身を出すのが大変ですが、こうやってきれいに出てくること自体が贅沢なことです。
値段の中には別の建物の仕込み場でせっせと身をほぐす若者たちの人件費が入っていると思えば、ある意味納得。


親がにの特徴である、内子(卵巣)と外子(受精卵)。
内子の色が鮮やかです。


そしてミソ。
こんなに食べられるのです。


ミソと和えた内子もまた珍味。


親がにの足の根元にはミソが詰まっていますから、しっかりと啜り出します。
猫舌の私は、熱くてヤケドしそうになりました。
濃厚なミソの風味たっぷりのかに汁は、汁マニアの私も大興奮。


四種類混ぜわせても食べてみます。


親がにらしい様々な味わいが渾然一体となって、口の中は幸せで一杯です。


食べ終わりました。
11時51分。
大満足。
生きていてよかった、と心の底から思えるランチでした。


お会計は、一番乗りの私に親切にアドバイスしてくれたチーフ格の可愛いお姉さん。
「今日はお待たせして申し訳ありませんでした!」
「予約無しで大阪から来たけど、食べられて良かったよ。ごちそうさま」
「大阪ですか。私今度大阪に就職するんです。美味しいお店教えて下さい!」
実に客あしらいの上手な女の子です。
きっと就職先でも可愛がられることでしょう。
店を出ると、既に12時の予約と、ウェイティングのお客さんが10人以上、判然としない列を作って待っていました。




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味暦あんべで絶品親がに丼を堪能して大満腹。
バイクで15分ほど走って鳥取砂丘に来ました。


昨年6月に来た時は、砂丘の西の方を歩きました。
今回は鳥取砂丘ジオパークセンターから入ります。


正面の小高い丘に向かって皆歩いています。
私もそこまで歩いてみることにしました。
膨れたお腹の消化を促進するためです。


近づいてみると結構急な斜面です。


バイクシューズに砂が入らないか心配です。


丘の頂上に着きました。


美しい日本海。
雲が多く、全体が灰色っぽいのも、山陰らしく感じます。


風が強く、波もやや高いです。


再び駐車場に戻ってきました。
なぜかスターウォーズの砂のアートが展示されていました。
それなりの労力と費用がかかっているのでしょうが、三連休にもかかわらず、誰も見る人も写真を撮る人もいない、寂しい展示でした。




西に走って、鳥取港に向かいます。
鳥取港といえば松葉ガニ。
ずらりと並ぶ蟹漁船。


漁港の近くにある鳥取港海鮮市場かろいち
賀露中央海鮮市場協同組合が経営する物産市場。


新鮮野菜や特産品、海産物などおみやげ品がたくさん並んでいます。


先程食べた親がにがてんこ盛り。


3枚1,000円が相場のようですが、4枚1,000円のお店もありました。


もちろん松葉ガニも。


車で日帰りなら買って帰りたいところです。


新鮮な海の幸をふんだんに使った魚料理の店が何軒もあり、賑わっています。


ちょうどイベントで漁師鍋の振る舞いを行っていました。


巨大な鍋で、豪快に作られています。


エビと大根が入っていました。
磯の香、海の恵みの味がたっぷり詰まった素朴な鍋。


市場を後にして駐車場に戻ると、カップルのツアラーに声を掛けられました。
「大阪からですか?私たちは神戸からで、これから大山に向かうんです」
「ええ。私はこれから三朝温泉に行きますが、宿は鳥取です」
ツーリング先で必ず交わされる、バイク乗りの共通の会話。
お互いの旅の安全を祈って別れるのが、バイク野郎の作法です。
「お気をつけて」
「ありがとうございます。そちらも」
私はバイクに跨り、ハンドルを三朝温泉に向けました。




鳥取市を後に、国道9号線を三朝温泉に向かいます。
途中、「因幡の白うさぎ」神話で有名な白兎海岸でバイクを駐めます。


天気はますます陰鬱になってきました。
山陰らしいと言えば、それまでですが。


ここが、うさぎがワニを騙してその背中を飛びながら渡ったという神話の場所。


淤岐ノ島(おきのしま)は兎の形に見えます。
島の上には鳥居。


白兎海岸からすぐの所にある白兎神社にお参りすることにしました。


白兎神社は、大兎大明神あるいは兎の宮白兎大明神といわれ、神話「因幡の白うさぎ」の舞台であり、古事記や日本書記に記される由緒明らかな神社です。
神話にちなみ、皮膚病ややけどなどに効く神社として信仰されてきました。
近年ではパワースポットとしても、縁結びの神様としても知られるところです。


神話の一コマが人形になっています。
因果応報、人の残酷さや優しさ、男女の縁、医術に対する古代の認識など、奥深い神話です。


白うさぎは大国主命(おおくにぬしのみこと)と八上姫(やかみひめ)の縁を取り持ったことから、縁結びの神様としても人気があります。


「大きな袋を肩にかけ」が歌い出しの童謡『大黒様』(だいこくさま)は、1905年(明治38年)「尋常小学唱歌 第二学年 上」に掲載された文部省唱歌。
歌詞では、大黒様(大黒天)として信仰されている大国主命が登場する日本神話「因幡の白うさぎ」のストーリーが描かれています。
その陰音階の、どこかもの悲しい音楽が、手水場に流れていました。


私は旅の安全を祈願しました。




国道9号線バイパス、青谷羽合道路を泊東郷IC出口で下ります。
鳥取県道22号線~29号線へ。
東郷湖の脇を通って山間部に入ります。




鳥取県道21号線に入ってからは、三朝温泉まであと少し。


三朝温泉はラジウムおよびラジウムがアルファ崩壊したラドンが含まれており、世界でも有数の放射能泉です。


いくつかの外湯や温泉旅館の日帰り湯がありますが、訪れたのは三朝温泉発祥と言われる株湯


伝説によれば1163年に発見されたという歴史的な温泉で、源義朝の家臣、大久保左馬之祐(さまのすけ)が源氏の再興を祈願し、三徳山三仏寺に赴いた折に命を救った白狼が夢枕に立って、楠の老木から湯が湧き出ていることを教えたといわれています。
この湯が元湯の株湯です。


足湯や飲泉場もあり、ポリタンクにいくつも湯を汲んで帰る方がいました。


入湯料は300円と破格。
但し、石鹸やシャンプーなどはありません。
昔ながらの公衆浴場ですが、改築されていて、施設は綺麗です。


券売機でチケットを購入します。


かなり熱めの源泉掛け流しです。
あつ湯は苦手な私には、長く浸かっているのはかなり難しく、何度か出たり入ったりしました。
いつしか肌は真っ赤になり、まるで「因幡の白うさぎ」のようになりましたが、ツーリングで冷えた身体はしっかり温まりました。

三朝温泉旅館協同組合HPより



お風呂上りに三朝温泉の古い町並みを散策します。
天神川にかかる恋谷橋


ここにはかじか蛙の置き物やオブジェがあり、縁結びのスポットとなっているようです。
上原多香子主演の映画のタイトルともなった場所。


三朝神社を訪れました。


三朝温泉の守り神的存在の神社。
合祀したこともあり、大己貴命(大国主命)、素盞鳴尊など、祭神の数は多いです。


この神社の手水所は常にラジウム温泉が湧いており、「神の湯」として親しまれています。
三朝温泉ならではの神社です。
もちろんここでも飲泉しました。


ここも映画「恋谷橋」の舞台ともなっています。


温泉街は昭和レトロな雰囲気。


老舗旅館が並びます。


温泉の薬効がお祈りしてある温泉街の神様「お薬師さん」が杷られている広場に薬師の湯があります。
ここは足湯と飲泉場。


夜に備えてここでもラジウム温泉を飲泉。


三朝橋たもとの河原にある公共露天風呂河原風呂は、三朝温泉のシンボルともいえます。
混浴とはいえ、さすがに女性は気が引けるでしょう。
今日はおじさんたちが入浴していました。
手前には足湯河原の湯も併設されています。




三朝温泉を後に、鳥取に戻ります。
鳥取県道21号線を東に向かいますが、日はどんどん暮れて行きます。



峠を越え、ループ橋で一気に高度を下げます。


鳥取に戻ってきました。
職場へのお土産を駅で買ってから宿に向かいます。


三連休の初日、苦労の末なんとか見つけた昭和レトロな新殿旅館です。


お布団を敷くのはセルフ。
酔っ払って帰って来てからでは、布団を敷くのも億劫になりますから、出かける前に敷いておきます。


お風呂にも入ってさっぱりしました。
お楽しみの夜の街へと出かけることにします。

三朝温泉から戻って、駅前旅館でひと風呂浴びてバイクウェアからカジュアルに着替えました。
鳥取の夜の街へ向かいます。


なんとも昭和なスナックが残る地方都市らしい飲み屋街。
繁華街と言うには余りにも人通りが少なくて、米子の繁華街の方が活気があった気がします。
私が知らないだけで、もっと賑わっている場所があるのでしょうか。
そんな一角にあるのが、今宵の私が狙う店。


酒肴処しもむら
今日のお昼に場所は確認済みです。


味わい深い暖簾。


10人も入れるかどうか、というカウンターだけの小さな店。
マスターが一人で切り盛りしています。


何とも味わい深い雰囲気。
入った瞬間
「ここは間違いない」
と感じました。
それほど私好み。


「いかにも吉田類が来そうなお店だな」
と思って店内を眺めていると、冷蔵庫にその吉田類の色紙と写真。
やっぱり来ていました。


手元にはメニューはありません。
黒板と短冊から選ぶようです。


とりあえず生ビール
入口近くにご常連が三人。
私の左隣にお二人。
まずはその人たちの動向を探りながら組み立てを考えます。


一生懸命短冊や黒板を眺めているうちに、付き出しが出てきました。
それも二品。
菜っ葉とジャコと昆布のゴマ油和え芋の煮物


これでちょっと間が持ちます。
マスターが左隣のご常連と味暦あんべの話をし始めました。
昼時にすごい行列だった、というマスターの話です。
私は、すかさず
「私、今日のお昼、まさに食べに行ってたんです」
と厚かましくも会話に割り込みます。
初見の居酒屋では、自分から飛び込んでいくことも大事なのです。
私の話で会話が回り始めました。


日本酒は有名どころから鳥取の地酒まで取り揃えています。


やはり、ここは鳥取の酒で攻めるべきでしょう。


卓上にはぐい呑みが山積みになっています。


人懐っこいお隣の常連さんが
「ここの徳利やぐい呑みは、全部マスターが作ってるんですよ」
と教えてくれました。
「郷に入っては郷に従え」です。
ご常連さんにいろいろ伺いながら、今宵の展開を考えていくことにしました。

ぐい呑みの裏には銘が掘られていました。
「しも」と書かれています。
入口近くに座るご常連さんたちが「しもさん」と読んでいるのは、きっと「下村さん」が本名だからでしょう。


鷹勇の純米吟醸をヒヤで。


アジとイワシの刺身
「おすすめを盛合せにしてくれませんか」
と最初はお願いしたのですが
「うちは盛合せやってないんですよ」
とぶっきらぼうな返事。
しかし、飛び込みの居酒屋は百戦錬磨の私
そんなことではめげません。
「じゃあ、イワシとアジを半々で盛り合わせて下さい」
それにも首をかしげていたマスターですが、特に否定はされませんでした。
かなり待って出てきた刺身の盛合せは、明らかに一人前ずつ。
マスターも自分を曲げない人なのです。


見るからに脂ののったイワシの刺身。


アジも光っています。
光物が大好きな私のベストコンビネーション。


お隣のご常連からお近付きのしるしと、東郷池畔の酒蔵の燗酒を頂きました。
私も、自分の鷹勇をお返し。
お若いご夫婦のようですが、マスターとも酒を酌み交わす、かなりのご常連とお見受けしました。


刺身が旨くて、日本酒が進みます。
右隣のご常連もイワシの刺身を頼んでいました。
「ここのイワシは美味しいですよ」
と私に話しかけます。
当初のアウェイ感は消えて、すっかりこの店に馴染んできました。


一番最初に頼んだ紅がにのかにみそが、ようやく出てきました。


この店を紹介してくれた、野田地獄谷の居酒屋のマスターが
「カニ味噌がルイベみたいになってて美味しかったですよ」
と言っていたので、何としてもそれは食べようと思っていたのです。
大きなカニ味噌の冷凍ブロックを薄くスライスして供するもの。
味はもちろんカニ味噌ですが、食感がユニークです。
いずれにしても、日本酒が進む危険なアテ。


お隣のご夫妻が茹で落花生を食べていました。
また私に勧めてくださるので
「私は千葉に留守宅があるので、茹で落花生はよく食べるんですよ」
とご辞退。
そこから落花生談義となります。

話が弾んで場も和み、ご常連ご夫妻とマスター、そこに私も入って乾杯。
岩手のあさ開をお相伴に預かりました。
素敵な方と隣合わせになる、そんな偶然も、酒場巡りの楽しさです。


次なる鳥取のお酒は、日置桜のヒヤ。


カニ味噌は解けて、よく見る姿に形を変えていました。


お隣のご常連のご主人は、とても親切に、私のことを気遣いながらこの店のことをお話してくれます。
マスターはぶっきらぼうですが、実は優しさを内に秘めていることをご常連はわかっているのです。
ワンオペなので、出てくるまで時間がかかりますから、せっかちな人には不向きだと言います。
それは私も同感。
そういえば、付き出しが二品出てきたのは、そういう訳だったのか、と勝手に想像しました。
もっとも、私は酒を飲むと、食べるスピードが落ちるので、ちょうどいい感じ。
今度は弁天娘のお燗をお相伴。
申し訳ない限りです。


更にお料理まで、おすそ分け。
白子の天ぷら


赤にし貝イカのくちばしと肝


最後はだし巻きまでお相伴に預かりました。
大好物の玉子料理ですが、一人では食べられないと諦めていたものです。



こんなにご馳走になって本当に感謝です。


素晴らしい昭和居酒屋の雰囲気。
頑固で不器用だけど優しいマスター。
そのマスターを慕って集まる素敵なご常連。
鳥取で、実にいい店と出会いました。



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